着物の暑さ対策|夏を快適に過ごす素材・インナー・着付けの工夫

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」です。
初心者向け着付けレッスンから着付け師・講師養成までおこなっています。

着物を自分で着られるようになりたい方は、初心者向けレッスンをご覧ください。


暑い時期に着物を着たいけれど、

  • 何月から単衣や夏着物を着てもよい?
  • 夏着物は本当に涼しい?
  • 長襦袢や補正を省いてもよい?
  • 暑くなりにくい帯結びはある?
  • 汗をかいた着物は、どうお手入れすればよい?

と悩む方も多いのではないでしょうか。

正直にいうと、着物を洋服のノースリーブやTシャツと同じくらい涼しく着ることは難しいです。肌着や長襦袢、着物、帯を重ねるうえ、おはしょりや腰紐、伊達締めなどによって、特に胴回りには熱がこもりやすくなります。

それでも、

  • 気温に合った着物を選ぶ
  • 涼しい素材を取り入れる
  • 重ねるものを必要以上に増やさない
  • 補正や着付け小物を見直す
  • 帯の種類や結び方を工夫する
  • 着付ける環境や外出時間を調整する

ことで、暑さによる負担を軽くすることはできます。

私は、着付けレッスンのある日は基本的に和装で過ごしています。レッスンはほぼ毎日あるため、夏の時期は浴衣や夏着物を着る日がほとんどです。

昨今の日本の夏は暑い時期が長いため、暦の上での季節だけにとらわれず、その日の気温によっては、5月頃から10月頃まで浴衣を着ることもあります。

この記事では、日常的に着物を着るなかで実践している、衣替えの考え方や素材の選び方、インナー、補正、帯結び、外出時の持ち物、着用後のお手入れまでご紹介します。

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目次

夏の着物は暑い。それでも工夫はできる

夏着物や浴衣は、見た目にはとても涼しげです。絽や紗の透け感、麻のさらりとした風合い、淡い色の帯や小物など、夏ならではの装いには、ほかの季節にはない魅力があります。

ただし、見た目が涼しそうだからといって、着ている本人まで涼しいとは限りません。特に暑くなりやすいのが、帯を巻く胴回りです。着物の布がおはしょりで重なり、その上から腰紐、伊達締め、帯板、帯、帯枕などを重ねるため、熱がこもりやすくなります。

大切なのは、「まったく汗をかかないようにする」ことではなく、

  • 汗を適切に吸収する
  • 肌へ生地がまとわり付くのを抑える
  • 熱がこもる部分を減らす
  • 洗えるものを上手に取り入れる
  • 着用後に早めにお手入れする

という考え方です。

暑さの感じ方は、気温だけでなく、湿度、風、移動時間、屋外にいる時間、室内の冷房、体調などによっても変わります。無理に我慢して着るのではなく、その日の環境と体調を優先しましょう。

着物の衣替えはいつ?

着物は、仕立て方によって大きく袷(あわせ)単衣(ひとえ)薄物(夏物)に分けられます。

従来の衣替えでは、

  • 10月〜5月:袷
  • 6月・9月:単衣
  • 7月・8月:薄物

とされてきました。ただ、近年は気温の高い時期が長くなり、昔ながらの暦どおりでは暑すぎることも少なくありません。

普段のお出かけであれば、私は従来の目安を知ったうえで、その日の気温や体感に合わせて柔軟に着分けてよいと考えています。

一方、お茶会やフォーマルな場などでは、従来の衣替えに則った装いが求められる場合もあります。迷ったときは、主催者や先生に確認すると安心です。

袷・単衣・薄物の違いや、現代の気候に合わせた着分けについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

私が実際に着ている時期

私は着付けレッスンのある日は、基本的に和装で過ごしています。レッスンはほぼ毎日あるため、季節の移り変わりを、実際に着物を着ながら感じることになります。

暑い時期の大まかな選び方は、次のとおりです。

  • 春でも暑い日は、早めに単衣へ替える
  • さらに気温が高ければ、透け感の少ない浴衣や綿麻を取り入れる
  • 盛夏は、麻、綿麻、綿絽、綿紅梅、セオαなどを中心にする
  • 暑さが残る秋口も、気温によっては浴衣や夏物を着る
  • 冷房の効いた室内では、薄い羽織物などで調整する

その結果、その日の気温によっては、5月頃から10月頃まで浴衣を着ることがあります。

浴衣は夏祭り専用ではありません。半衿や足袋を加えて着物風に着たり、夏の名古屋帯を合わせたりすれば、着こなしの幅も広がります。

では、実際に気温の高い日に着物を着るとき、どうすれば少しでも快適に過ごせるのでしょうか。

暑さ対策1|着物の仕立てと素材を替える

暑さ対策で最初に見直したいのが、着物そのものです。袷の着物を着たままインナーや小物だけを夏用に替えるよりも、単衣や夏物へ替える方が、重なる布の量を減らせます。

袷から単衣へ替える

単衣は、胴裏や八掛などの裏地が付いていない着物です。袷より布が一枚少ないため、暑さの残る春や秋に適しています。

透け感のない単衣は、夏物より季節をまたいで使いやすく、気温の高い時期が長くなった現在では、着用する期間も長くなっています。

絽や紗などの夏物を着る

絽や紗は、生地に隙間を作って織られた、透け感のある夏向けの素材です。見た目が涼やかで、盛夏ならではの装いを楽しめます。

ただし、生地が透けるため、長襦袢やインナーの色、丈、袖の形などが外から見えないか確認しましょう。

麻は、張りがあり、肌へまとわり付きにくい素材です。汗をかいても、さらりと感じやすいため、盛夏の着物や長襦袢に向いています。一方でシワになりやすいため、シワも素材の風合いとして楽しめるかどうかを考えて選びましょう。

家庭で洗える商品もありますが、仕立て方や加工によって異なります。洗濯表示や購入店の案内を必ず確認してください。

綿麻

綿と麻を組み合わせた素材です。麻の張りや涼しさを持ちながら、綿が入ることで、麻100%よりやわらかな肌触りのものもあります。

浴衣だけでなく、半衿や足袋を合わせて着物風に着やすい商品もあります。

綿紅梅・綿絽

綿紅梅は、太さの異なる糸を使って格子状の凹凸を作った生地です。綿絽は、絽のように透ける部分を作った木綿生地です。いずれも一般的なコーマ地の浴衣とは異なる、涼しげで上品な表情があります。

透け感が強いものは、浴衣として着る場合もインナー選びに注意しましょう。

セオα

セオαは、東レが開発した吸水性・速乾性を備えたポリエステル素材です。家庭で洗える商品が多く、汗をかく季節に日常的に着物や浴衣を着たい方に便利です。

ポリエステルであっても、生地の厚みや織り方によって着心地は異なります。素材名だけで判断せず、実際の透け感や肌触りも確認しましょう。

洗えることも大きな暑さ対策

汗をかく時期には、「涼しいか」だけでなく、「着用後に洗いやすいか」も重要です。汗をかくたびにお手入れの心配をして、着物を着ること自体が負担になってしまっては、楽しむ機会が減ってしまいます。

普段着には、

  • 木綿
  • 綿麻
  • 洗えるポリエステル
  • 家庭洗濯に対応した浴衣

などを上手に取り入れると、暑い時期にも気軽に着やすくなります。

ただし、木綿や麻であっても、染色や仕立て方によっては家庭洗濯に適さないものがあります。素材だけで判断せず、洗濯表示や購入店の説明を確認しましょう。

夏の着物(浴衣)と帯のコーディネイト例

麻や綿麻、浴衣など、その日の気温と予定に合わせて素材を選びます。

ゆかたコーディネイト

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暑さ対策2|長襦袢とインナーを見直す

着物の下に重ねる長襦袢やインナーも、暑さを左右します。ただし、暑いからといって肌着をすべて省くと、汗が直接着物へ移りやすくなります。

枚数を減らすことだけでなく、汗を吸収し、肌にまとわり付きにくい素材を選ぶことが大切です。

夏用の長襦袢

夏向けの長襦袢には、次のような素材があります。

  • 爽竹
  • 吸汗・速乾性のある洗える素材

私は、単衣の時期から爽竹の長襦袢をよく使用しています。

また、さらに暑い時期には麻の長襦袢も使用します。麻は汗をかいても肌にまとわり付きにくく、さらりと感じやすいところが気に入っています。

爽竹は竹由来の繊維とポリエステルを組み合わせた素材で、夏用の洗える長襦袢として販売されています。

半襦袢を使う

浴衣を着物風に着る場合や、着物の袖から襦袢袖が見えないことを確認できる装いでは、衿付き半襦袢を使う方法もあります。

長襦袢よりも身頃や裾周りの布を減らせるため、暑さを軽減しやすくなります。ただし、透け感のある夏着物では、長襦袢の袖や裾が着姿の一部になります。

外から見たときに不自然にならないかを確認し、着物に合わせて選びましょう。

肌着は汗取りの役割も考える

肌着を選ぶ際には、

  • 汗を吸う
  • 背中や脇をカバーする
  • 浴衣や着物の透けを防ぐ
  • 裾さばきをよくする
  • 胸元や腰回りを必要に応じて補正する

という役割があります。

暑さを避けるためにすべて省くのではなく、一枚で複数の役割を兼ねられるインナーを選ぶと、重ね着を減らせます。私は、たかはしきもの工房のくノ一夏子なども使用しています。

ブラジャー、汗取り、体形補正などの役割をまとめられるため、それぞれを別に着用するより、枚数を減らせる場合があります。

ステテコ・東スカート・ペチコート

裾除けの代わりには、

  • 和装用ステテコ
  • 東スカート
  • ペチコート
  • 洋服用のキュロットペチコート

なども利用できます。

私は、たかはしきもの工房のローライズステテコを使用することがあります。足さばきがよく、汗をかいても太もも同士が直接触れにくいのが特徴です。

最近は、強風で裾がめくれたときに足が見えにくい、東スカートやペチコートを使うことも増えました。

洋服用のインナーで代用する場合は、

  • 浴衣や着物から透けない色
  • 裾から見えない丈
  • 静電気が起きにくい素材
  • 足さばきを妨げない形
  • 衿元から見えないデザイン

を確認しましょう。

暑さ対策3|補整を見直し、着方を工夫する

着物の補整には、体のくぼみを補って着姿を整えたり、着崩れを防いだり、紐や帯の食い込みを和らげたりする役割があります。

また、タオルなどを使うことで、汗を吸収してくれる面もあります。一方で、補整のためにタオルや専用パッドを重ねれば、その分、胴回りに熱がこもりやすくなります。

私自身は補整を一切していません

私も以前は、タオルなどを使って補整をしていました。

しかし、着物を着る頻度が上がり、ほぼ毎日のように着るようになると、毎回補整を用意して身に着けることを面倒に感じるようになりました。そこで、少しずつ補整を減らし、現在は一切していません。

その代わり、

  • 体形に合わせた布の運び方
  • 腰紐を掛ける位置
  • 衿元や胸元の整え方
  • おはしょりの処理
  • 紐や帯の締め加減

などを調整し、補整をしなくても着姿が整うよう、着方を工夫しています。

補整をしない分、着付けに必要なものが減り、準備や洗濯も楽になりました。胴回りに重ねる布が少なくなるため、暑い時期の負担も軽減できます。

補整をしない方がよいとは限らない

ただし、すべての方に補整が不要というわけではありません。体形や目指す着姿、着用する着物、帯の種類によっては、補整をした方が着やすく、着崩れにくい場合があります。

特に、

  • 腰紐や帯が体に食い込みやすい
  • 胸元や衿元が崩れやすい
  • 礼装らしい端正な着姿に整えたい
  • 汗を吸収するものを入れたい

という場合は、必要な場所にだけ薄く補整を入れる方法もあります。

「着物を着るなら必ず補整をする」「暑いからすべて省く」と一律に考えるのではなく、自分の体形や着方に合わせて判断することが大切です。

補整を減らしたい場合も、いきなりすべて取り除くのではなく、一つずつ減らしながら、着崩れや着心地がどのように変わるか確認するとよいでしょう。

メッシュの帯板

夏用の帯板には、メッシュ素材の商品があります。一般的な帯板より通気性があり、帯周りの蒸れを軽減しやすくなります。

帯板の幅や長さ、硬さによって着姿や使いやすさが変わるため、帯の種類や体形に合わせて選びましょう。

へちま・麻・メッシュの帯枕

帯枕にも、

  • へちま
  • メッシュ

など、夏向けの素材があります。一般的な帯枕より熱がこもりにくく、汗をかく季節にも乾かしやすいものがあります。

使用後は、帯枕もすぐに収納せず、十分に湿気を飛ばしましょう。

麻の腰紐や伊達締め

麻は、夏用の腰紐や伊達締めにも使われています。肌に触れたときにさらりと感じやすく、乾きやすい点がメリットです。

ただし、素材が夏用であっても、紐を必要以上にきつく締めれば苦しくなります。着崩れを防ぐためには、強く締めるのではなく、適切な位置で体に沿わせることが重要です。

暑さ対策4|帯の素材と帯結びを工夫する

着物と同じように、帯にも夏向けの素材があります。
盛夏には、

  • 絽綴
  • 上布

など、透け感や通気性のある帯を合わせます。単衣の時期には、着物の素材や色柄に合わせて、博多織や紬地などの帯を選ぶこともあります。

半幅帯や博多帯は季節をまたいで使える商品も多くありますが、すべてが通年向きとは限りません。色柄や素材、透け感を見て判断しましょう。

お太鼓結び

名古屋帯のお太鼓結びは、改まった印象になり、幅広い場面に対応できます。一方、背中に帯枕とお太鼓が重なるため、暑い時期には熱がこもりやすく感じることがあります。

夏用の帯枕や薄手の帯を使うことで、負担を軽減できます。

銀座結び

銀座結びは、一般的に帯枕を使わず、帯山を低く仕上げる帯結びです。お太鼓結びに比べて背中の厚みを抑えやすく、私は暑い時期にもよく結びます。

ただし、カジュアルな帯結びのため、礼装には向きません。

銀座結び

半幅帯

半幅帯は、帯枕や帯揚げを使わずに結べます。名古屋帯より幅が狭く、結び方によっては背中を平らに仕上げられるため、暑い時期にも取り入れやすい帯です。

浴衣だけでなく、小紋や紬、木綿着物などのカジュアルな着物にも合わせられます。

カルタ結び

カルタ結びは、半幅帯を折り畳むようにして作る、平らな帯結びです。帯の羽根を大きく広げないため、背中がコンパクトに収まり、椅子にもたれやすいところもメリットです。

私は、浴衣や普段着で気軽に出かける日に、よく結んでいます。

カルタ結び

兵児帯・ファブリック帯

大人向けの兵児帯や、やわらかいファブリック帯も増えています。軽く、結び方の自由度が高い一方、商品によっては生地を何重にも重ねるため、必ずしも半幅帯より涼しいとは限りません。

帯の厚みや長さ、結び方を見て選びましょう。

夏帯や半幅帯、銀座結びなど、その日の装いと予定に合わせて帯周りも調整します。

暑さ対策5|着付ける前に体と部屋を冷やす

着物や小物を夏用へ替えても、着付けを始める前から汗だくになっていては、着付け中にさらに暑くなります。着るものだけでなく、着付ける環境を整えることも大切です。

エアコンを入れておく

着付けを始める前に、部屋を涼しくしておきます。着物を着た後に冷房を入れるのではなく、道具を準備する段階から室温を整えておく方が、汗をかきにくくなります。

入浴直後を避ける

入浴やシャワーの直後は、体温が上がり、汗をかきやすい状態です。時間に余裕を持ち、汗が引いてから着付けを始めましょう。

メイクやヘアセットを先に済ませる

着物を着た後に、ドライヤーやヘアアイロンを長時間使うと、さらに暑くなります。

可能であれば、

  1. メイク
  2. ヘアセット
  3. 着付け

の順に準備します。

ただし、ファンデーションや整髪料が着物の衿に付かないよう注意してください。

道具を先に並べておく

着付けの途中で腰紐や帯板を探していると、時間がかかり、その分汗も増えます。

使う順番に、

  • 足袋、肌着類
  • 長襦袢
  • 腰紐
  • 伊達締め
  • 着物
  • 帯板
  • 帯枕
  • 帯揚げ
  • 帯締め

などを並べてから着始めると、短時間で着付けやすくなります。

着付け前にも水分を取る

着付けが終わってからではなく、準備を始める前にも水分を取っておきます。帯を締めた後は、一度に多く飲みにくく感じる方もいるため、出発前まで少しずつ水分を取るとよいでしょう。

暑さ対策6|外出時間と移動方法を工夫する

真夏の暑さは、着物や着付け小物だけでは解決できません。暑さが厳しい日は、外出する時間や移動経路も調整しましょう。

  • 日中の最も暑い時間を避ける
  • 駅までバスやタクシーを利用する
  • 地下街や屋根のある道を選ぶ
  • 余裕のあるスケジュールを組む
  • 涼しい場所でこまめに休憩する
  • 屋外を長時間歩く予定を減らす

暑い日に急いで歩くと、それだけで汗をかきやすくなります。普段より移動に時間がかかることを想定し、余裕を持って出発しましょう。

暑さ対策7|外出時に持っておきたいもの

暑い時期の外出では、次のものがあると便利です。

  • 日傘
  • 扇子または団扇
  • ハンディファン
  • 汗拭き用のハンカチやタオル
  • 飲み物
  • 替えの足袋
  • 必要に応じて冷却グッズ
  • 冷房対策用の薄い羽織物

日傘

着物は衣紋を抜いて着るため、首の後ろへ直射日光が当たりやすくなります。日傘があれば、顔や首、肩周りへの日差しを避けやすくなります。

私は、槙田商店の「菜-sai-」シリーズの紫おくらという日傘を愛用しています。日差しが強い真夏は、完全遮光日傘サンバリア100を使用します。

槙田商店 菜-sai-シリーズ 紫おくらと、サンバリア1002段折 / キューブ(イエロー, 木曲がり手元)
左:槙田商店 saiシリーズ 紫おくら
右:サンバリア100 2段折
槙田商店 菜-sai-シリーズ 紫おくら(日傘)を開いた状態
槙田商店 菜-sai-シリーズ 紫おくら
サンバリア1002段折(日傘)を開いた状態
サンバリア100 2段折

和柄に限定せず、洋服にも着物にも合わせられるデザインを選ぶと、日常的に使いやすくなります。

扇子・団扇

電池を使わず、必要なときにさっと使える扇子は、着物での外出にも便利です。帯へ差したまま歩くと落としたり、帯を傷めたりする可能性があるため、使用しないときはバッグへ入れておく方が安心です。

ピンクの親骨に扇面が水色の扇子
いつも持ち歩いている扇子

ハンディファン

ハンディファンは、室内や日陰などで風を送る際に便利です。

気温が非常に高い屋外では、送られる風自体が熱い場合もあります。日陰や冷房の効いた場所へ移動し、体調を優先して使用しましょう。

飲み物

着物を着ていると、トイレへ行く回数を気にして水分を控えてしまう方もいます。しかし、暑い時期には、喉が渇く前からこまめに水分を取ることが大切です。

厚生労働省は、暑い日の外出時には日傘や日陰を利用し、こまめに休憩・水分補給をするよう案内しています。熱中症警戒アラートが発表されるような日は、外出自体を控えることも検討しましょう。

暑い日には無理をしない

どれだけ夏向けの着物や小物を使っても、猛暑のなかで長時間過ごせば、体には負担がかかります。

  • 体調がよくない
  • 睡眠不足
  • 食事を取れていない
  • 暑さに慣れていない
  • 屋外に長時間いる
  • 熱中症警戒アラートが発表されている

といった場合は、着物を着ることや外出自体を見直しましょう。

予定によっては、

  • 移動中は洋服で、会場で着替える
  • 着付けを依頼して準備時間を短くする
  • 浴衣や洗える着物へ変更する
  • 帰りは着物を脱いで帰る
  • 日程や時間帯を変更する

という方法もあります。

着物を着ることより、体調と安全を優先してください。

着用後の汗対策とお手入れ

夏の着物は、着ている間だけでなく、脱いだ後のお手入れも重要です。着用直後の着物には、汗や湿気が残っています。そのまますぐ収納すると、シミや黄ばみ、カビなどにつながる可能性があります。

脱いですぐに畳まない

着物を脱いだら、着物ハンガーへ掛け、直射日光の当たらない風通しのよい場所で湿気を飛ばします。

長時間掛けたままにすると、生地が伸びたり、型崩れしたりする場合があるため、湿気が抜けたら状態を確認して畳みましょう。

汗や汚れを確認する

特に確認したいのは、次の部分です。

  • 袖口
  • 胴回り
  • 背中
  • 長襦袢の背中や脇
  • 帯と接していた部分

汗は乾くと目立たなくなる場合があります。たくさん汗をかいた場合や、大切な正絹の着物を着た場合は、早めに専門店へ相談すると安心です。

丸洗いだけでは汗の成分が十分に落ちない場合もあるため、必要に応じて汗抜きについても相談しましょう。

洗える着物や浴衣

家庭で洗える着物や浴衣は、洗濯表示に従って洗います。

  • きれいに畳んで洗濯ネットへ入れる
  • おしゃれ着用の中性洗剤を使う
  • 弱い水流や手洗いコースを選ぶ
  • 脱水を短時間にする
  • 形を整えて陰干しする

など、生地への負担を抑えて洗いましょう。

洗える素材であっても、色落ちや縮みが起こる場合があります。初めて洗う際は、購入店の説明や洗濯表示を必ず確認してください。

長襦袢や小物も乾かす

着物だけでなく、

  • 長襦袢
  • 肌着
  • 補正用タオル
  • 腰紐
  • 伊達締め
  • 帯板
  • 帯枕
  • 足袋

にも汗や湿気が移っています。すぐに収納せず、洗えるものは洗い、洗えないものは風通しのよい場所で十分に乾かしましょう。

着物の暑さ対策についてよくある質問

5月に単衣を着てもよいですか?

普段着であれば、気温や体調に合わせて単衣を着てもよいと考えます。最高気温が高く、袷では暑いと感じる日は、単衣を選ぶ方が無理なく過ごせます。

ただし、礼装や茶席など、衣替えの決まりを重視する場では、主催者や先生へ確認しましょう。

5月や10月に浴衣を着てもよいですか?

普段のお出かけや着付けレッスンなど、カジュアルな場であれば、その日の気温や着こなしに合わせて楽しんでもよいでしょう。私は気温によって、5月頃から10月頃まで浴衣を着ることがあります。

季節感が気になる場合は、帯や小物の色、柄、素材を時期に合わせて調整します。

6月に夏着物を着てもよいですか?

従来は6月が単衣、7月から夏物とされます。ただし、暑さの厳しい普段着では、6月から夏物を取り入れる方もいます。

礼装や決まりのある場では、周囲の装いや主催者の考え方を確認しましょう。

夏着物は本当に涼しいですか?

袷の着物よりは、裏地がなく、生地に透け感や隙間があるため、夏向けに作られています。

ただし、長襦袢や帯、小物を重ねるため、洋服の夏服と同じように涼しいわけではありません。素材やインナー、補正、帯結びなどを組み合わせて、暑さによる負担を減らします。

夏でも長襦袢は必要ですか?

透け感のある夏着物を着る場合は、夏用の長襦袢を合わせるのが基本です。浴衣を通常の浴衣として着る場合は、長襦袢を着ません。

浴衣を着物風に着る場合は、夏用長襦袢や衿付き半襦袢を使用します。

暑い日は補整をしなくてもよいですか?

補整は必須ではありません。私自身も以前はタオルなどで補整をしていましたが、現在は着方を工夫し、一切補整をしていません。

ただし、補整には着姿を整えるだけでなく、紐や帯の食い込みを和らげ、汗を吸収する役割もあります。

補整をした方が着やすいかどうかは、体形や着付け方、着物、帯によって異なります。暑い時期は量を減らしたり、必要な場所だけに薄く入れたりしながら、自分に合う方法を探しましょう。

汗をかいた着物は毎回洗いますか?

着物の素材や汗の量によって異なります。家庭で洗える浴衣や着物は、洗濯表示に従って洗えます。

正絹の着物は、着用後に湿気を飛ばし、汗や汚れの状態を確認します。たくさん汗をかいた場合や、大切な着物の場合は、専門店へ相談しましょう。

夏でも足袋を履きますか?

夏着物には足袋を履くのが基本です。浴衣は素足が基本ですが、着物風に着る場合や、訪問先で素足を避けたい場合には、足袋を合わせられます。

麻やレースなど、夏向けの足袋もあります。

まとめ|暑さを我慢せず、夏ならではの着物を楽しもう

暑い時期の着物は、洋服の夏服と比べれば、どうしても暑くなります。

それでも、

  • 袷から単衣・夏物へ替える
  • 麻、綿麻、綿紅梅、綿絽、セオαなどを取り入れる
  • 夏用の長襦袢や半襦袢を使う
  • インナーを重ねすぎない
  • 補正を必要な部分だけにする
  • メッシュや麻、へちまの着付け小物を使う
  • 夏帯、銀座結び、半幅帯などを取り入れる
  • 涼しい部屋で着付ける
  • 外出時間や移動経路を工夫する
  • 着用後は汗と湿気を早めに確認する

ことで、負担を軽減できます。

普段着であれば、暦のルールだけにとらわれず、その日の気温や体調に合わせて調整してよいと私は考えています。私自身も、着付けレッスンのある日は基本的に和装で、暑い時期には浴衣や夏着物をほぼ毎日のように着ています。

暑さを我慢するのではなく、洗える素材や夏用小物、着付け方の工夫を取り入れながら、夏ならではの着物や浴衣を楽しんでください。

暑い時期にも無理なく着物を楽しみたい方へ

夏の着付けは、単に小物を夏用へ替えるだけではありません。一人ひとりの体形に合わせて、

  • 補整をするかどうかを含め、体形や目指す着姿に合った着方を見つける
  • 腰紐や伊達締めの位置を調整する
  • 必要以上に締め付けない
  • 手持ちのインナーや小物を生かす
  • 着物や帯に合った、負担の少ない着付け方を選ぶ

ことも、快適に過ごすためのポイントです。

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」では、決まった手順を一律にお伝えするのではなく、一人ひとりの体形やお持ちの着物・小物に合わせて、無理なく着られる方法をお伝えしています。

初めて着物を習う方には、初心者向けの着付けレッスンをご用意しています。


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この記事を書いた人

徳山 友紀のアバター 徳山 友紀 大阪福島の着付け教室「ゆうきもの」代表 / 1級着付け技能士(国家資格)

1級着付け技能士(国家資格)・着付け講師。大阪市福島区で、きもの着付け教室「ゆうきもの」を運営しています。初心者向けレッスンから着付け師・講師養成まで対応。着付けご依頼、出張着付け(大阪市内限定)も承ります。

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