大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」です。
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「銀座結びと角出し結びは、何が違うのですか?」
着付けレッスンでも、よくいただくご質問です。

見た目がよく似ているうえ、書籍や着付け教室、Webサイトによっても説明が異なり、
- 銀座結びと角出しは同じもの
- 銀座結びは角出しの一種
- 手先の向きによって呼び分ける
- 結ぶ手順によって呼び分ける
など、さまざまな説明があります。
私自身も以前、銀座結びと角出し結びの違いが分からず、調べたことがあります。ところが、検索しても「これが違いです」と明確に説明された情報がなかなか見つかりませんでした。
そこで、角出しが結ばれていた時代や当時使われていた帯、結ぶ工程などを自分なりに調べ、次のように整理しました。
歴史的な角出しは、昼夜帯や丸帯などを使い、「引き抜き」という方法で結ばれていた帯結び。
銀座結びは、名古屋帯など現代の帯を使い、お太鼓結びに近い工程で角出しのような形を作る帯結び。
これが、現時点での私なりの結論です。ただし、銀座結びと角出し結びの名称や定義は、現在も完全に統一されているわけではありません。
本記事では、古くからの角出しを必要に応じて「本角出し」、現代の帯で結ぶ方法を「銀座結び」として、両者の違いを整理します。
銀座結びと角出し結びの違い
まずは、主な違いを比較してみましょう。
| 角出し・本角出し | 銀座結び | |
|---|---|---|
| 成立 | 江戸時代から見られる古い帯結び | 角出しを原形とする現代的な帯結び |
| 主に使われた・使われる帯 | 昼夜帯、腹合わせ帯、丸帯など | 名古屋帯、京袋帯、洒落袋帯など |
| 主な結び方 | 引き抜き結び | お太鼓結びに近い工程 |
| 柄の向き | 引き抜き用でない現代の帯では、柄が逆さになる場合がある | 現代の帯の柄を生かして結びやすい |
| 手先 | 左右に角のように出す | 左右に角のように見せる |
| 帯枕 | 現代のお太鼓用帯枕は基本的に使わない | 使わない方法が多いが、薄い枕や厚紙を使う方法もある |
| 帯締め | 古い結び方では現在とは使い方が異なる | 帯締めでお太鼓の下線を固定する方法が一般的 |
| 主な着用シーン | 町着・普段着 | 小紋や紬などのカジュアルな装い |
国立国会図書館のレファレンス事例では、古くから角出しには昼夜帯を使うのが定式だったという資料や、銀座結びは江戸時代の角出しを原形とするという書籍が紹介されています。
一方、現在の着付けでは、見た目が似た帯結びを「角出し」と呼ぶ場合もあれば、「銀座結び」と「角出し」を別の結び方として紹介する場合もあります。実際に、きもの文化学苑監修の解説でも、銀座結びを「角出し結びのアレンジ」としながら、銀座結びと角出し結びをそれぞれ別の手順として掲載しています。
角出し結びとは?
角出し結びとは、背面から見たときに、左右へ「角」のように手先が出た帯結びです。
帯枕を使った一般的なお太鼓結びに比べると、お太鼓の山が低く、下側にふっくらとした膨らみができます。きりっと整ったお太鼓結びとは異なり、やわらかく、粋な雰囲気になるのが特徴です。浮世絵などにも見られる古い帯結びで、江戸時代の町人女性や粋筋の女性が結んでいたとされています。
当時は、現在のような名古屋帯や袋帯がまだありません。表と裏に異なる生地を使った昼夜帯・腹合わせ帯や、幅広の帯地を半分に折って仕立てた丸帯などが使われていました。
昼夜帯とは?
昼夜帯は、表と裏に異なる色や生地を使った帯です。「腹合わせ帯」「鯨帯」などと呼ばれることもあります。表裏の両方を生かせるため、角出しのように帯の裏側が見える結び方にも適しています。
名古屋帯が登場する以前には、広く使われていた帯の一つです。角出しには昼夜帯を用いるのが定式だったという記録もあります。
角出しに使われた「引き抜き結び」とは?
歴史的な角出しは、一般的なお太鼓結びとは異なる「引き抜き」という方法で結ばれていました。
引き抜き結びでは、帯を胴に巻いた後、手先の上にたれを重ね、手先の下からたれを途中まで引き出します。たれ先は最後まで引き抜かず、お太鼓に必要な長さを残します。
次に、手先を右上へ折り上げ、たれの根元と結びます。その後、引き抜いていたたれを下ろして、お太鼓の形を作ります。左右へ出た手先が「角」のように見えます。
現代の帯で引き抜くと柄が逆さになることがある
引き抜き結びでは、たれを引き抜いてから下へ戻すため、通常のお太鼓結びとは柄の向きが反対になります。古い丸帯や昼夜帯には、引き抜きで結んだときに正しい向きになるよう、柄が配置されているものがあります。
一方、現在の名古屋帯や袋帯は、一般的なお太鼓結びを前提として柄が付けられているものが多いため、上下のある柄を引き抜きで結ぶと、柄が逆さになる場合があります。
全通柄や上下のない幾何学柄などであれば、柄の向きをあまり気にせず結べます。
【現代の帯(洒落袋帯)を引き抜きで結んだ例】





銀座結びとは?
銀座結びは、江戸時代から続く角出しを原形としながら、名古屋帯など現代の帯でも結びやすいよう、工程を変えた帯結びと考えられます。
歴史的な角出しのように、たれを引き抜いて結ぶのではありません。一般的なお太鼓結びに近い工程で帯を巻き、手先をお太鼓の内側に通し、お太鼓の下側に膨らみを持たせて仕上げます。
そのため、現在の名古屋帯に付けられたお太鼓柄を、正しい向きで見せやすいのが特徴です。一重太鼓よりもたれを長めに残し、お太鼓の山を低めにして、左右から手先を角のように見せます。

お太鼓の下側に膨らみを持たせ、左右に手先を見せます。
帯枕を使わずに結ぶ方法がよく知られていますが、形を安定させるため、薄い帯枕や厚紙などを使う方法もあります。実際に、現在紹介されている銀座結びの手順にも、厚紙で作った枕を使う方法があります。
「銀座のママが考案した」という説について
銀座結びの由来として、
銀座のママが、名古屋帯で角出しのような形を結べるように考案した
という説がよく語られています。そこから「銀座結び」という名前が付いたともいわれます。ただし、誰がいつ考案したのかを示す明確な記録は、私が確認した範囲では見つけられませんでした。
そのため本記事では、考案者については断定せず、角出しを原形として、現代の帯に合う工程で結ばれるようになった帯結びとして整理しています。
結局、銀座結びと角出しは同じ?違う?
見た目だけを比べると、銀座結びと角出し結びに大きな違いがない場合もあります。
どちらも、
- お太鼓の山が低い
- お太鼓の下側に膨らみがある
- 左右から手先が角のように出る
- 粋でこなれた印象になる
という共通点があります。そのため、左右から手先が出た形状を広く「角出し」と捉えれば、銀座結びも角出しの一種といえます。
一方、成立した時代や使われていた帯、結ぶ工程まで含めて考えると、
- 引き抜きで結ぶ古い角出し
- 現代の帯を使い、お太鼓に近い工程で結ぶ銀座結び
には違いがあります。
私自身は、次のように考えると整理しやすいと思っています。
「角出し」は、左右に角が出る帯結びの形を表す広い呼び方。
「本角出し」は、昼夜帯などを使って引き抜きで結ぶ歴史的な角出し。
「銀座結び」は、現代の帯と結び方で角出しの形を作る帯結び。
ただし、これは名称を整理するための一つの考え方です。
流派や教室によっては、手先の向き、手先を通す位置、たれの作り方などによって、銀座結びと角出しを区別する場合もあります。
なぜ呼び方が混在しているの?
帯結びは、同じ名前でも流派や教室によって工程が異なることがあります。反対に、仕上がりの形がほぼ同じでも、異なる名前で呼ばれることもあります。
銀座結びと角出しについても、
- 歴史的な由来を基準にする
- 結ぶ工程を基準にする
- 手先の向きを基準にする
- 完成した形を基準にする
など、何を基準にするかによって説明が変わります。
現在の着付け情報でも、銀座結びを「角出しのアレンジ」とする説明がある一方、銀座結びと角出しを別々の帯結びとして紹介する例があります。
そのため、「こちらでは角出しと習ったのに、別の教室では銀座結びと呼ばれている」ということがあっても、どちらかが必ず間違っているとは限りません。
名称だけで判断するよりも、
どの帯を使い、どのような工程で、どの形に仕上げる帯結びなのか
を確認する方が分かりやすいでしょう。
見た目だけで区別できる?
銀座結びと角出しを、完成した見た目だけで厳密に区別するのは難しいと考えています。
手先が上向きか下向きか、左右どちらを長く見せるか、お太鼓の膨らみをどの程度出すかなどは、結び方や好みによって変わります。
また、同じ銀座結びでも、
- お太鼓を小さくコンパクトにする
- 下側の膨らみを大きくする
- 手先を長く出す
- 手先を控えめに見せる
- 左右を非対称に仕上げる
など、さまざまな形があります。
使用する帯の長さ、張り、厚さ、柄の位置によっても、完成した印象は変わります。
したがって、手先の向きや形だけで「これは銀座結び」「これは角出し」と断定するのではなく、工程も含めて考えるのがよいと思います。
銀座結びに向いている帯
銀座結びは、名古屋帯で結ぶのが一般的です。そのほか、京袋帯や洒落袋帯などでも結べます。
適度な張りがある帯
銀座結びでは、お太鼓の下側にふっくらとした膨らみを作ります。そのため、やわらかすぎず、適度な張りがある帯の方が形を作りやすく、崩れにくいでしょう。
ただし、厚く硬すぎる帯は、手先を内側へ通したり、膨らみを作ったりしにくい場合があります。
六通柄や全通柄
六通柄や全通柄の帯は、柄の位置を細かく合わせる必要が少なく、銀座結びにも使いやすい帯です。特に全通柄や、上下の向きを気にしなくてよい柄は、形やたれの長さを調整しやすくなります。
お太鼓柄の帯
お太鼓柄の名古屋帯でも銀座結びはできます。ただし、一重太鼓とはお太鼓の大きさやたれの長さが異なるため、帯によっては柄の位置を合わせにくいことがあります。
前柄とお太鼓柄の両方を出すには、胴に巻く位置や手先の長さを調整する必要があります。
短い帯
銀座結びは、一重太鼓よりも必ず長い帯が必要というわけではありません。お太鼓の大きさや手先の出し方を調整すれば、少し短めの帯でも結べる場合があります。
一方、手先を左右に十分出したい場合や、ふっくらと大きなお太鼓にしたい場合は、ある程度の長さが必要です。アンティーク帯など短い帯を使う場合は、帯の長さに合わせて仕上がりを調整しましょう。
袋帯でも銀座結びはできる?
袋帯でも銀座結びを結ぶことはできます。ただし、袋帯は名古屋帯より長く、厚みのあるものも多いため、余った帯を収める工夫が必要です。
また、金銀糸を多く使った礼装用の袋帯は硬く重いため、銀座結びには扱いにくい場合があります。
洒落袋帯など、比較的やわらかく、カジュアルな装いに合わせる帯の方が向いています。袋帯を使った銀座結びも、現在の着付け方法として紹介されています。

半幅帯や兵児帯でも角出し風に結べる
「角出し」は、左右に角が出た形状を表す呼び方としても使われます。そのため、半幅帯や兵児帯でも、角出し風の帯結びを作ることができます。


ただし、名古屋帯の銀座結びと同じ工程ではありません。帯の種類に応じて、手先やたれを角のように見せるアレンジ結びと考えるとよいでしょう。
銀座結び・角出し結びに合う着物とシーン
銀座結びや角出し結びは、お太鼓結びに比べて、粋でこなれた印象があります。主に、次のようなカジュアルな着物に合わせます。
- 小紋
- 紬
- 木綿着物
- ウール着物
- デニム着物
- カジュアルな色無地や江戸小紋
街歩き、食事、観劇、買い物、友人との集まりなど、普段のお出かけに向いています。銀座結びは、小紋や紬に似合うおしゃれな帯結びとしても紹介されています。
フォーマルな場には向かない
銀座結びや角出し結びは、基本的にカジュアルな帯結びです。
結婚式や式典などのフォーマルな場では、袋帯の二重太鼓など、その場にふさわしい格の帯結びを選びます。訪問着や付下げであっても、着用する場が改まった席であれば、銀座結びは避けた方が安心です。
一方、観劇や食事会など、着物をおしゃれ着として楽しむ場面であれば、着物や帯との組み合わせによって銀座結びを楽しめます。
観劇や長時間座る場面にも
銀座結びは、一般的なお太鼓結びよりも帯の山が低く、標準的な帯枕を使わずに結ぶ方法も多いため、椅子の背にもたれやすいのがメリットです。
私は、観劇など長時間椅子に座るお出かけにも向いていると感じます。
椅子にもたれる際は、左右の手先を一時的に立てるようにすると、つぶれにくくなります。立ち上がった後に手先を寝かせ、お太鼓の膨らみを手で整えれば、比較的簡単に形を戻せます。
暑い季節にも比較的快適
標準的な帯枕を使わずに結ぶ銀座結びは、お太鼓結びに比べて背中の厚みを抑えられます。少しでも身につける小物を減らしたい暑い季節にも、取り入れやすい帯結びです。
ただし、形を安定させるために薄い帯枕や厚紙を使用する方法もあります。帯や体形、好みに合う方法を選びましょう。
銀座結びと角出し結びについてよくある質問
- 銀座結びと角出し結びは同じものですか?
-
広い意味では、銀座結びも角出しの一種と考えられます。
一方、歴史的な引き抜き結びによる角出しを「本角出し」、現代の帯と工程で結ぶものを「銀座結び」と呼び分けることもあります。
名称の定義は統一されていないため、どの帯を使い、どのような工程で結ぶかを確認すると分かりやすいでしょう。
- 本角出しとは何ですか?
-
一般的には、昼夜帯や丸帯などを使い、引き抜きで結ぶ古い角出しを、現代の銀座結びと区別して「本角出し」と呼ぶことがあります。
ただし、「本角出し」という名称の使い方も、流派や教室によって異なります。
- 名古屋帯でも角出しを結べますか?
-
現代では、名古屋帯で角出しのような形を作る帯結びが広く行われています。
それを「銀座結び」と呼ぶ場合もあれば、「名古屋帯の角出し」と呼ぶ場合もあります。歴史的な角出しと同じ引き抜きで結ぶ場合は、帯の柄が逆さにならないか確認してください。
- 銀座結びに帯枕は必要ですか?
-
標準的なお太鼓用の帯枕を使わずに結ぶ方法が多くあります。
一方、帯山を安定させるために、薄い帯枕や厚紙を使う方法もあります。
使う帯や好み、習う流派によって異なるため、帯枕を使う方法が間違いというわけではありません。
- 銀座結びに帯揚げは必要ですか?
-
帯山を支える紐や薄い帯枕などを帯揚げで包む場合は、帯揚げを使用します。
帯揚げには装飾としての役割もあるため、帯山を別の方法で支える場合でも、コーディネートとして使用することがあります。
- 銀座結びに帯締めは必要ですか?
-
一般的な銀座結びでは、帯締めでお太鼓の下線を固定します。
帯締めが緩いと形が崩れやすいため、お太鼓の膨らみを残しながら、必要な位置でしっかり固定します。
- 銀座結びはフォーマルな場でも結べますか?
-
銀座結びは、基本的にカジュアルな帯結びです。小紋や紬などでの街歩き、食事、観劇などに向いています。
結婚式や式典などのフォーマルな場では、二重太鼓など、着物と場面の格に合った帯結びを選びましょう。
まとめ|形だけでなく、歴史と工程に違いがある
銀座結びと角出し結びは、完成した見た目がよく似ています。そのため、現在では両者をほぼ同じ意味で使ったり、銀座結びを角出しの一種として扱ったりすることもあります。
一方、歴史や結ぶ工程をたどると、次のような違いがあります。
- 角出しは、昼夜帯や丸帯などを使い、引き抜きで結ばれていた古い帯結び
- 銀座結びは、名古屋帯など現代の帯で、角出しの形を作りやすくした帯結び
- 現代では名称や区別の仕方が統一されていない
- 見た目だけで両者を厳密に区別するのは難しい
- どちらも主にカジュアルな装いに合わせる
私自身は、
古くからの角出しを、現代の帯と着付け方法で楽しめるようにしたものが銀座結び
と考えるのが、最も分かりやすいと思っています。帯結びには、同じ名前でも異なる工程があり、同じ形でも異なる名前が付いていることがあります。
名称だけにとらわれすぎず、使う帯や工程、仕上がりの好みに合わせて楽しんでください。
銀座結びを学びたい方へ
大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」では、名古屋帯を使った銀座結びのレッスンをおこなっています。一重太鼓は結べるようになったけれど、
- ほかの帯結びにも挑戦したい
- 粋でこなれた着姿を楽しみたい
- 銀座結びの形がうまく決まらない
- 手持ちの帯で結べるか相談したい
という方におすすめです。
帯の長さや張り、柄の位置を確認しながら、一人ひとりの体形や帯に合わせた結び方をお伝えします。
参考資料
角出し、昼夜帯、引き抜き結び、銀座結びの由来については、国立国会図書館レファレンス協同データベースに掲載された資料調査を参考にしました。

