着物だからと、全部そろえなくていい|和洋兼用でいいもの・専用がいいもの

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」です。
初心者向け着付けレッスンから着付け師・講師養成までおこなっています。

着物を自分で着られるようになりたい方は、初心者向けレッスンをご覧ください。


着物を着始めるとき、 「着物には、和装専用のものを使わなければならない」 と思っていませんか?

SNSや、着付けに詳しい知人・先輩からのアドバイスの中には、「これも専用のものでないと」という声が意外と多く含まれています。そうした情報に触れているうちに、着物を着る前から身構えてしまう方も少なくないのではないでしょうか。

和装ブラ、肌襦袢、裾よけ、足袋、バッグ、コート、下駄……。 着物や帯だけでも費用がかかるのに、周辺のものまで一式そろえようとすると、なかなかの金額になります。保管場所も必要です。

もちろん、和装専用品には、着物を美しく着やすいように考えられた利点があります。 ただし、着物のために使うものを、何から何まで和装専用でそろえる必要はありません。 特に、年に数回程度、着物や浴衣を楽しみたいという方であれば、洋服と兼用できるもので十分な場合も多いと考えています。

目次

和装専用品を使った方がよいものもある

最初にお伝えしておきたいのは、この記事は「和装専用品は必要ない」という話ではないということです。

腰紐や伊達締め、帯板、帯枕など、着付けのために必要な道具は、基本的には和装用に作られたものを使用する方が、きれいに着やすく失敗も少なくなります。

また、

  • 留袖や振袖などの礼装を着る
  • 結婚式や式典など、格を重視する場に出席する
  • 頻繁に着物を着る
  • より美しい着姿や快適性を追求したい

という場合には、用途に合った和装専用品を持っている方が安心です。

一方で、バッグやアウター、インナーなどは、手持ちの洋装用品や、普段も使える商品で代用できることがあります。 私自身、着付け講師という職業柄もあり着物を着る頻度はかなり高い方ですが、何でも和装専用でそろえているわけではありません。

バッグやアウターは、基本的に和洋兼用

私が着物で出かけるときに使うバッグは、基本的に洋服と兼用です。 カジュアルな着物であれば、小ぶりなハンドバッグや、持ち手が短めのトートバッグなどもよく合います。 浴衣に合わせるかごバッグも、必ずしも浴衣売り場で販売されているものである必要はありません。

和洋兼用しているバッグ
左:レスポートサック ミニボストン / 右:土屋鞄 ミニトート

実際に私が使用しているバッグや、着物に合わせやすい形については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

私自身、着物を着始めた頃には、和装専用のバッグをいくつか購入しました。 しかし、使える場面や合わせられる着物が限られてしまい、結局ほとんど使わなくなったものもあります。

新しくバッグを購入する場合も、 「着物にも洋服にも合わせられるか」 という視点で選ぶと、使える機会が増えます。

アウターも同様です。 袖や身幅にゆとりがあり、着物の袖を無理に押し込まずに着られるものであれば、洋服用のコートやケープ、ストールなどを合わせることができます。

和装ブラは必須?胸のボリュームによって考える

着物は、洋服のように胸の立体感を強調するのではなく、身体をできるだけ筒状に整えると、衿元や帯まわりがきれいに仕上がります。 そのため、胸を中央に寄せて谷間を強調するようなワイヤー入りの補整力が強いブラジャーは、着物にはあまり向いていません。 特に胸のボリュームがある方は、胸を押さえてなだらかに整えられる和装ブラを使用した方が、着姿が安定しやすくなります。

とはいえ、普段着として着物を楽しむ程度であれば、商品名が「和装ブラ」であるかどうかは、実はそれほど重要ではありません。大切なのは、胸を寄せて上げる形になっていないか、着物を着たときに胸元がなだらかに整うかどうかです。

フェリシモ ボリューム押さえてフラットブラ
フェリシモ フラットブラ

私が使用しているもののひとつが、フェリシモの「フラットブラ」シリーズです。
フェリシモ flufeel フラットブラ

バストのボリュームを面で押さえる設計で、ワイヤーやアンダーゴムを使用していないタイプも展開されています。

もうひとつ、夏によく使用しているのが、B.V.D.の「涼ブラ」です。
B.V.D. 涼ブラ

軽くて蒸れにくいハーフトップタイプなどがあり、暑い時期に使いやすいシリーズです。

涼ブラは、和装ブラのように胸を強く押さえるための商品ではありません。胸のボリュームや、求める仕上がりによって向き不向きはありますが、たとえば着物を脱いですぐに洋服に着替える必要があるときなど洋服との兼用として愛用しています。

胸が小さめの方であれば、スポーツブラなどのノンワイヤータイプで十分きれいに着られることもあります。

大切なのは、「和装専用かどうか」だけで判断するのではなく、

  • 胸を寄せて上げるボリュームアップタイプではないか
  • 着物を着たときに胸元がなだらかになるか
  • 長時間着けても苦しくないか

を確認することです。

浴衣のインナーも専用品でなくてよい

浴衣の下には、浴衣用の肌着やワンピース型の浴衣スリップを着るのが一般的です。 汗を吸い、下着や身体のラインが透けるのを防ぎ、裾さばきをよくするという役割があります。

ただし、同じ役割を果たせるものであれば、洋服用のスリップでも代用できます。

ピーチ・ジョンと無印良品のスリップ
左:ピーチジョン / 右:無印良品

私が今夏愛用しているのは、ピーチ・ジョンの「透け防止スリップ(丈長め)」です。
ピーチ・ジョン 透け防止スリップ(丈長め)

薄手や淡色の洋服を着る際の透け防止用として販売されている商品で、下着のラインが響きにくく、ロングワンピースなどにも合わせやすい丈になっています。

丈が少し短めでもよければ、無印良品の「蒸れにくいスリップドレス」も選択肢になります。
無印良品 婦人 蒸れにくいスリップドレス

もしくは、ユニクロのエアリズムのタンクトップの下に、こちらのペチパンツを合わせてもよいでしょう。
無印良品 婦人 蒸れにくいペチパンツ

木材パルプを主原料としたレーヨン素材で、やわらかな肌触りと蒸れにくさ、軽い着心地を特徴としています。

いずれも黒とベージュがあるので、私はそれぞれの両カラーを使い分けています。ピーチ・ジョンの方がよりピタッと体に沿うタイプで、無印良品の方がゆったりしています。

洋服用のスリップを使うメリットは、普段のワンピースやスカートの下にも着られることです。 浴衣で出かけたあとに洋服へ着替える場合も、浴衣を脱いでその上からサッとワンピースを着れば、着替えが一瞬で終わります。 旅行先や、浴衣を着て参加するイベントなどでも便利です。

ただし、洋服用のスリップを選ぶ際は、次の点を確認してください。

  • 浴衣の衿元からインナーが見えない
  • スリップの肩紐が浴衣から透けにくい
  • 浴衣の色に合わせて、白やベージュなど目立ちにくい色を選ぶ
  • 裾が短すぎず、下着や脚のラインをカバーできる
  • 汗をかく日は、吸汗性も考慮する

浴衣専用の肌着は、衿ぐりの形や汗対策などが浴衣向けに作られています。 汗をたくさんかく方や、長時間浴衣を着る方は、専用品の方が快適な場合もあります。

下駄も洋服に合わせられるものを選ぶ

浴衣のためだけに下駄を購入すると、履く機会は夏祭りや花火大会などに限られがちです。 そこでおすすめなのが、洋服にも合わせられるデザインの下駄です。

Mizutoriの下駄
mizutori 下駄(hitete 6.5)

私が愛用しているのは、mizutoriの下駄です。
mizutori/株式会社水鳥工業

伝統的な下駄の形だけでなく、ヒールのあるタイプや、モダンな柄・デザインの商品が豊富にあります。公式サイトでは、約6.5cmヒールの「hitete 6.5」や、ほぼフラットな感覚で履ける約4.5cmヒールの「hitete 4.5」などが展開されています。

浴衣やカジュアルな着物にはもちろん、ワンピースやデニムなどの洋服にも合わせやすいため、夏以外にも活用できます。 「下駄は浴衣のときだけ履くもの」と考えず、普段のサンダル感覚で履けるデザインを選ぶと、使用頻度が大きく変わります。

普段着の足袋は、専用品にこだわらなくていい

礼装では基本的に白足袋を使いますが、普段着の着物であれば、足袋の形や種類にこだわりすぎなくても問題ありません。

sou・souの足袋下
SOU・SOU 足袋下

私が夏以外のカジュアルな着物でよく使っているのが、SOU・SOUの「足袋下」です。
SOU・SOU 足袋下

足袋の形をした靴下なので、一般的な足袋よりも気軽に履けて、色や柄をコーディネートの一部として楽しめます。 着物だけでなく、洋服や地下足袋、鼻緒のある履物にも合わせられるため、日常使いしやすいアイテムです。また、色んな長さがあるので、季節に応じて使い分けています。

ただし、結婚式や式典、茶席など、礼装や格式を求められる場では、基本的に白足袋を使用します。 足袋下は、あくまでも普段着の着物や、自由なコーディネートを楽しむ場面で取り入れるものと考えましょう。

「着物だから必要」ではなく、自分に必要かで選ぶ

和装専用品は、着物を美しく、快適に着るためによく考えて作られています。 頻繁に着る方や、仕上がりにこだわりたい方にとっては、専用品をそろえる価値があります。

一方で、年に数回着る程度であれば、普段使っているものや、和洋兼用できる商品で問題ない場合も少なくありません。

最初からすべてを買いそろえなくても大丈夫です。 まずは手持ちのものを使ってみて、不便を感じたものや、仕上がりに納得できないものだけを専用品に替えていく。 そのくらいの始め方でよいのではないでしょうか。

「着物を着るには、特別なものをたくさん用意しなければならない」 という思い込みは、着物を遠い存在にしてしまいます。

着物を特別な日の衣装としてだけでなく、もっと身近に、気軽に楽しむために。 和装用と洋装用の境界にとらわれすぎず、自分の着方や暮らしに合ったものを選んでみてください。


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この記事を書いた人

徳山 友紀のアバター 徳山 友紀 大阪福島の着付け教室「ゆうきもの」代表 / 1級着付け技能士(国家資格)

1級着付け技能士(国家資格)・着付け講師。大阪市福島区で、きもの着付け教室「ゆうきもの」を運営しています。初心者向けレッスンから着付け師・講師養成まで対応。着付けご依頼、出張着付け(大阪市内限定)も承ります。

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