帯揚げとは?種類と選び方|結び方・色合わせ・季節による違いも解説

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」です。
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着物を自分で着られるようになりたい方は、初心者向けレッスンをご覧ください。


着物を着たとき、帯の上から少しだけ見える「帯揚げ」。

お太鼓結びなどでは、帯枕を包んで支えるために使う着付け小物ですが、正面から見える部分はわずかながら、色や見せ方によって着姿の印象を変えるコーディネートアイテムでもあります。

着付け教室でも、

「帯揚げにはどんな種類がありますか?」
「帯揚げと帯締めは、同じ色にした方がいいですか?」
「どれくらい見せるのが正解ですか?」
「きれいに結べず、いつもシワシワになってしまいます」

といった質問をよくいただきます。

特に、帯揚げをきれいに仕上げようとして、前で結ぶときに一生懸命シワを整えている方は少なくありません。でも実は、帯揚げをきれいに仕上げるポイントは、結び方そのものよりも「結ぶ前に、きれいな幅に整えておくこと」です。

帯揚げ

この記事では、帯揚げの役割や種類、季節による違い、色合わせから、私がレッスンでお伝えしている帯揚げをきれいに整える方法までご紹介します。

※着付けに必要な小物の全体一覧はこちら

目次

帯揚げとは?

帯揚げは、お太鼓結びなどで使う帯枕を包むための布です。帯枕を覆って外から見えないようにするとともに、帯枕を体に添わせて安定させる役割があります。

正面から見ると、帯揚げは着物と帯のちょうど境目に位置します。そのため帯揚げには、帯枕を包む実用的な役割だけでなく、着物と帯の色や印象を自然につなぎ、全体をなじませる役割もあります。

たとえば、着物と帯の色のコントラストが強いときに、その両方になじむ色の帯揚げを入れると、境目がやわらぎ、コーディネート全体がまとまりやすくなります。

反対に、あえて鮮やかな色の帯揚げを入れて、着物と帯の間にアクセントをつくることもできます。

つまり帯揚げは、

  • 帯枕を包んで支える
  • 着物と帯を自然につなぐ
  • 色や柄でアクセントを加える

という、実用面とコーディネート面の両方を担う小物です。

帯揚げで着物と帯の色を馴染ませるコーディネイト例
帯揚げをアクセントカラーとして取り入れるコーディネイト例

見える面積は帯や帯締めよりも小さいものの、顔まわりに比較的近い位置に色が入るため、帯揚げを変えるだけでも着姿の印象は変わります。

着物や帯を何枚も増やさなくても、帯揚げや帯締めなどの小物を変えることで、同じ着物と帯を違った雰囲気で楽しめるのも、着物のおもしろいところです。

帯揚げはどんな帯結びに必要?

帯揚げは、基本的に帯枕を使用する帯結びで使います。代表的なのが、名古屋帯や袋帯の「お太鼓結び」です。

一方で、

  • 半幅帯の帯結び
  • 帯枕を使わないアレンジ結び

などでは、帯揚げがなくても帯結び自体は成立します。

つまり、

「着物を着るときには必ず帯揚げが必要」なのではなく、帯枕を使うかどうかによって必要性が変わる。と考えるとわかりやすいでしょう。

ただし、帯枕を使わない帯結びでも、コーディネートのアクセントとして帯揚げを加える着こなしもあります。

着付けにはそれぞれの小物本来の役割がありますが、普段着であれば、その役割を知ったうえで自由に取り入れて楽しむのもよいと思います。

帯揚げにはどんな種類がある?

帯揚げには、素材や生地、織り方、染め方、加工などによってさまざまな種類があります。

着物を始めたばかりの方は、すべての名称を覚える必要はありません。まずは、見た目や質感の違いを知るところからで十分です。

縮緬(ちりめん)

表面に細かな凹凸のある生地です。

やわらかな表情があり、無地から柄ものまで種類も豊富です。比較的カジュアルな着物にも合わせやすく、小紋や紬など普段着のコーディネートでもよく使われます。また、比較的キレイに整えやすい素材です。

縮緬素材の帯揚げ
縮緬の帯揚げ

綸子(りんず)

地紋が織り出された、光沢のある生地です。

見る角度によって模様が浮かび上がり、縮緬とは違ったつややかな印象があります。色柄や加工によって雰囲気はさまざまで、華やかな着こなしにも使われます。

綸子の帯揚げ
綸子の帯揚げ

絞り

生地を絞って染めることで、立体的な表情を出した帯揚げです。

全面に絞りが入ったものもあれば、一部分だけに絞りを施したものもあります。特に振袖では、ボリュームのある総絞りの帯揚げをふっくらと見せる着付けもよく見られます。

振袖など華やかな装いに合う総絞りお帯揚げ
振袖など華やかな装いに合う総絞りの帯揚げ

柄もの・ぼかし・染め分け

帯揚げは無地だけではありません。

柄が染められたもの、複数の色を使ったぼかしや染め分けなど、デザインもさまざまです。染め分けの帯揚げは、結ぶ向きや見せる場所によって出てくる色を変えられるため、一枚でも複数のコーディネートを楽しめます。

絞り染め、墨流し柄の帯揚げ
絞り染め、墨流し柄の帯揚げ

正絹とポリエステル

素材では、絹100%の「正絹」のほか、ポリエステルなどの化学繊維で作られた帯揚げもあります。正絹はしなやかで締めやすいものが多い一方、ポリエステルは比較的扱いやすく、自宅で洗える商品もあります。

最初から高価なものを何枚も揃える必要はありません。まずは実際に使いながら、扱いやすさや好みに合ったものを少しずつ増やしていけば十分です。

フォーマル用とカジュアル用はどう違う?

帯揚げも、着物や帯と同じように、着ていく場面や装いの格に合わせて選びます。

礼装では、白や淡い色、金銀を使ったもの、華やかな加工が施されたものなどが選ばれることがあります。一方、普段着では色や柄の自由度が高く、コーディネートに合わせてさまざまな帯揚げを楽しめます。

ただし、

「縮緬ならカジュアル」
「綸子ならフォーマル」
「絞りなら礼装」

というように、生地の種類だけで単純に決まるものではありません。素材や色柄、加工、合わせる着物や帯、着ていく場面まで含めて考えることが大切です。

購入時に「礼装用」「洒落用」などの表記があれば、それも選ぶ際の目安になります。

フォーマルな装いの着物コーディネイト例(絞りの帯揚げ)
フォーマルな装いのコーディネイト例(絞りの帯揚げ)

フォーマルな装いの着物コーディネイト例(白の地紋入帯揚げ)
フォーマルな装いのコーディネイト例(白の地紋入帯揚げ)

夏には夏向けの帯揚げがあります

夏物の着物や帯に合わせる帯揚げには、絽など、透け感のある涼しげな生地があります。袷の季節に使う帯揚げと比べると、生地そのものが薄く、見た目にも軽やかです。

透け感のある夏用の帯揚げ
透け感のある夏用の帯揚げ

夏の着物は、着物や帯だけでなく、

  • 帯揚げ
  • 帯締め
  • 半衿
  • 長襦袢

などの小物にも透け感や涼しさを取り入れることで、全体に統一感が出ます。

ただし近年は暑い時期が長いため、「何月何日から必ず夏物」と日付だけで区切るよりも、その日の気候や着物・帯とのバランスを見ながら取り入れてもよいと思います。

特に普段着では、季節感を大切にしつつ、無理なく着物を楽しんでください。

最初の一枚は、手持ちの着物や帯に合わせやすいものから

着物を始めると、「帯揚げも着物や帯ごとに必要なのかな?」と思われるかもしれません。でも、最初から何枚も揃える必要はありません。まずは、手持ちの着物や帯に合わせやすい一枚があれば十分です。

ベージュ、グレー、生成り、淡いニュアンスカラーなど、主張の強すぎない色は比較的さまざまなコーディネートになじませやすいでしょう。

ただし、「初心者なら必ずこの色」という決まりがあるわけではありません。すでに着たい着物や帯が決まっているのであれば、それに合わせて選ぶのが一番です。

着物を着る機会が増えてきたら、

「もう少し明るい色を入れたい」
「季節感のある色が欲しい」
「今日は帯揚げをポイントにしたい」

など、自分のコーディネートに必要な役割に合わせて少しずつ増やしていけばよいと思います。

帯揚げと帯締めは同じ色じゃなくてもいい

レッスンでよく聞かれるのが、「帯揚げと帯締めは、同じ色で揃えた方がいいですか?」という質問です。

もちろん、同系色でまとめてもきれいです。帯揚げと帯締めを同じ色や近い色にすると統一感が出るため、着物を始めたばかりの方にも取り入れやすい組み合わせです。

でも、必ず同じ色にする必要はありません。

たとえば、

  • 帯揚げは着物になじませ、帯締めを差し色にする
  • 帯締めは帯になじませ、帯揚げに色を入れる
  • 帯揚げは着物から、帯締めは帯の柄から一色ずつ拾う
  • 帯揚げと帯締めを同系色の濃淡で合わせる
  • あえて異なる色を組み合わせる

など、いろいろな考え方ができます。

私は生徒さんに、着物のコーディネートもメイクと同じように、「足し算・引き算」で考えるとわかりやすいとお話ししています。着物や帯が華やかなら、小物は少しなじませる。反対に、着物と帯がシンプルなら、帯揚げや帯締めに色を足してアクセントにする。

帯揚げと帯締めの両方を強く見せる必要もありません。

帯締めの記事でもご紹介していますが、帯締めは着姿の中央を横切るため、洋服でいう「ベルト」のように、全体をキュッと引き締める役割にも使えます。その場合、帯揚げは少しなじませて、帯締めを主役にしてもよいでしょう。

反対に、きれいな色や柄の帯揚げを見せたい日は、帯締めを控えめにする。「帯揚げと帯締めをどう揃えるか」ではなく、今日は、どこを見せたいのか。そう考えると、小物選びがぐっと自由になります。

帯揚げは、どれくらい見せればいい?

帯揚げについて、よく聞かれるのが、「帯からどれくらい見せればいいですか?」という質問です。帯揚げの見せ方によって、着姿の印象は変わります。

帯の中にほとんど収めれば、すっきり控えめな印象に。
少しふっくらと見せれば、やわらかく華やかな印象になります。

また一般的には、若い方ほど帯揚げを多めに見せ、年齢を重ねるにつれて控えめにする着こなしが多いとされています。また、夏場は控えめにした方が涼しげな印象になります。

振袖では、帯揚げそのものを装飾として大きく見せる着付けもよく見られます。一方、大人の着こなしでは、帯の上から少しのぞかせる程度にすると、すっきり落ち着いた印象になります。

ただし、これも「年齢によって何cm」と決まっているものではありません。着物や帯とのバランス、その日のコーディネート、そして何より自分の好みに合わせて調整してよいと思います。

私は、帯揚げもせっかく選んだコーディネートの一部なので、すべて帯の中に隠してしまうのは少しもったいないと感じています。

帯揚げの色を効かせたい日は少し多めに見せる。
帯や帯締めを主役にしたい日は控えめにする。

年齢だけで決めるのではなく、その日の着こなし全体を見ながら、見せる分量を調整するくらいがちょうどよいでしょう。

帯揚げをきれいに整えるコツ

帯揚げが、

「シワシワになってしまう」
「左右の太さが違う」
「結び目だけが大きくなってしまう」

という場合、結び方だけを直そうとしてもうまくいかないことがあります。帯揚げをきれいに仕上げる一番のポイントは、結ぶ前に、左右をきれいに均等の幅へ整えておくこと。

私はレッスンでも、帯揚げを広げた状態のまま帯枕に掛けるのではなく、最初から半分の幅に折って使う方法をお伝えしています。

最初から1/2幅にして帯枕に掛ける

帯揚げを縦半分に折り、輪になった側を上にして帯枕に掛けます。

最終的に、前で結ぶ部分は帯揚げを約1/6の幅に整えます。最初から1/2幅にしておけば、前に持ってきたあとに、その幅をさらに三等分すればよいことになります。

つまり、

1/2幅 → さらに三等分 → 1/6幅

です。

広げた状態からいきなり細く整えようとするよりも、基準となる幅が最初から決まっているため、左右を均等に整えやすくなります。

結ぶ前に、体の両脇で1/6幅に整える

帯揚げを前まで持ってきたら、すぐに中央で結ぶのではありません。まず、体の前の左右それぞれで帯揚げをきれいに整えます。

  1. 帯揚げを、1/2幅の状態できれいに広げる
  2. 下側(両耳側)を、下から上へ1/3折り上げる
  3. 上側の「輪」の部分を、上から下へ1/3折り下げる
  4. 約1/6幅の帯状に整える
  5. 左右とも同じ幅に整ってから、中央で結ぶ

という手順です。

大切なのは、結びながら帯揚げを細くしようとしないこと。結ぶ前の段階で、左右とも同じ幅のきれいな帯状にしておけば、その状態を崩さないように結ぶだけなので、仕上がりがすっきりします。

帯揚げをきれいに結ぶコツは、「結び方」よりも「結ぶ前の準備」。

これは、私がレッスンでも特にお伝えしているポイントです。

帯揚げを結ぶときも、整えた幅を崩さない

左右を1/6幅に整えたら、その形をなるべく崩さないように中央で結びます。結ぶときに強く握ったり、帯揚げをねじったりすると、せっかく整えた面にシワが入ってしまいます。

「結び目を作ってからきれいにしよう」とするのではなく、きれいに整えた布を、そのまま結び目にする。という感覚で扱うと、仕上げやすくなります。

結んだあとは、余った先端や結び目を帯の中へ収め、帯から見える部分の幅や左右のバランスを確認します。

帯揚げの結び方や始末の仕方にはいくつか方法がありますので、ここでは私が普段レッスンでお伝えしている方法をご紹介しています。

帯揚げは「見えない部分」も整える

帯揚げは正面から見える部分が少ないため、つい中央だけをきれいにしようとしがちです。でも、脇から前にかけてシワが集まっていると、そのシワが正面まで続いてしまいます。

きれいに仕上げるためには、正面だけを見るのではなく、

  • 帯枕に掛けた段階
  • 背中から脇へ持ってくる段階
  • 体の前で1/6幅に整える段階
  • 中央で結ぶ段階

と、それぞれの工程で少しずつ整えることが大切です。

最後の数センチだけを何とかしようとするよりも、途中でシワを作らない方がずっと簡単です。

これは帯揚げに限らず、着付け全体にも言えること。仕上がりをきれいにするためには、最後に帳尻を合わせるのではなく、ひとつ前の工程をきれいにしておくことが大切です。

帯揚げの保管方法

帯揚げを使用したあとは、すぐに収納せず、しばらく広げて湿気を飛ばしてからしまいます。特に正絹の帯揚げは、汗や湿気を含んだまま長期間収納しないようにしましょう。

収納するときは、シワを軽く整えて畳みます。

帯揚げは細長いため、コンパクトに畳んで収納できますが、強い折りジワをつけたくない場合は、同じ場所ばかりで折らないようにするのもおすすめです。また、絞りの帯揚げは、せっかくの立体感を強く押しつぶさないように扱います。

素材や加工によってお手入れ方法は異なりますので、洗濯表示や商品説明も確認してください。

帯揚げは、小さな面積だからこそ楽しめる

帯揚げは、お太鼓結びなどで帯枕を包むために必要な着付け小物です。

でも、正面から少しだけ見える色は、着姿全体の印象にも影響します。帯揚げと帯締めを同じ色に揃える必要もありませんし、いつも同じ分量を見せる必要もありません。

着物や帯になじませる日があってもいい。きれいな色を少しだけ効かせる日があってもいい。着物や帯に比べれば小さなアイテムだからこそ、普段なら選ばない色や柄にも挑戦しやすいと思います。

そして、着付けの面では、帯揚げをきれいに仕上げるために、最初から1/2幅で帯枕に掛け、結ぶ前に1/6幅へ整える。このひと手間を意識してみてください。

結んでから形を直すのではなく、結ぶ前にきれいな形を作っておく。それだけでも、帯揚げはぐっと整えやすくなります。

帯揚げ本来の役割を知ったうえで、ぜひ帯締めと一緒に、コーディネートを楽しんでみてください。


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この記事を書いた人

徳山 友紀のアバター 徳山 友紀 大阪福島の着付け教室「ゆうきもの」代表 / 1級着付け技能士(国家資格)

1級着付け技能士(国家資格)・着付け講師。大阪市福島区で、きもの着付け教室「ゆうきもの」を運営しています。初心者向けレッスンから着付け師・講師養成まで対応。着付けご依頼、出張着付け(大阪市内限定)も承ります。

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