着付け師・他装を学ぶ方におすすめの道具一覧|練習から現場まで

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」です。
初心者向け着付けレッスンから着付け師・講師養成までおこなっています。

着物を自分で着られるようになりたい方は、初心者向けレッスンをご覧ください。


着物を自分で着る「自装」と、人に着物を着せる「他装」では、必要になる道具にも少し違いがあります。

他装のレッスンを始めると、

「家で練習するには何が必要?」
「着付けクリップは何種類そろえればいい?」
「着付け師として仕事をするなら、何を持っておけばいい?」

といった疑問も出てくるのではないでしょうか。

このページでは、ゆうきものの他装レッスン・着付け師養成コースで使用しているものや、私自身が実際に使っているものを中心に、他装を学ぶ方・着付け師を目指す方におすすめの道具をご紹介します。

最初からすべてをそろえる必要はありません。

  • 他装の練習を始めるとき
  • 振袖や七五三など、技術の幅が広がってきたとき
  • 実際に着付け師として現場に出るとき

と、段階に応じて少しずつ買い足していけば十分です。

後半では、私が着付け師として現場へ行く際に、着付け用バッグへ最低限入れて持ち歩いている道具も、実際の写真とともにご紹介します。

着付け師の仕事の際に、現場で使用しているバッグ。

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目次

他装を学ぶ方におすすめの道具一覧

まずは、どの段階で必要になるかを一覧で確認してみましょう。

道具おすすめのタイミング主な用途
和装用トルソー自宅練習を始めるとき他装の反復練習
着付けクリップ 大(約7.2cm)最初から着物・帯の仮留め
着付けクリップ ロング(約10cm)最初から背中心や衿元の仮留め
着付け用ヘラ最初からおはしょり・帯まわりを整える
マルチ定規練習初期衿・衣紋・おはしょりなどの確認
三重仮紐振袖を学ぶ頃飾り帯結び
着付けクリップ 小(約4.8cm)七五三を学ぶ頃子どもの着付けなど
スタイリストエプロン・バッグ現場に出る頃道具を身につけて作業
衣裳敷現場に出る頃着物を汚さず広げる

腰紐、伊達締め、帯板、帯枕など、着付けそのものに必要な基本の小物については、こちらの記事にまとめています。

自宅練習をするなら|和装用トルソー

和装用トルソー(着付けボディ)

他装を上達させるためには、やはり繰り返し練習することが大切です。とはいえ、毎回モデルになってくれる人を確保するのは難しいもの。

自宅でも練習したい方には、和装用トルソーがあると便利です。ゆうきものの教室でも、レッスンや練習用に和装用トルソーを使用しています。

私が使用しているのは、木製スタンドタイプです。フローリングの上でも扱いやすく、着物や帯を繰り返し練習する際にも安定しています。

トルソーを選ぶときのポイント

洋裁用のマネキンではなく、できれば着付け練習用として作られた和装用トルソーを選びましょう。

選ぶ際には、

  • 帯をしっかり締められる
  • 土台が安定している
  • 高さを調整できる
  • 自宅に無理置けるサイズ

などを確認します。また、他装の練習用であれば、「腕なし」タイプがおすすめです。

ただし、トルソーと実際の人体では、やわらかさや体型、動き方が異なります。トルソーで手順を反復したら、最終的には人への着付けも繰り返し練習することが大切です。

和装用トルソーを購入する

七五三着付け用 トルソーを購入する

練習用の着物も、習得内容に合わせて用意する

他装の練習では、トルソーやクリップなどの道具だけでなく、実際に着付けるための着物や帯も必要です。

一般的な女性着物の練習であれば、ご自身がお持ちの着物を使っても問題ありません。ただし、着付け師としてさまざまな着付けに対応できるようになるためには、学ぶ内容に応じて、

  • 振袖
  • 七五三
  • 男性着物
  • それぞれに合わせる帯や小物

など、異なる種類の着物で練習する必要があります。

練習用なら新品でなくてもOK

練習用の着物は、新品や高価なものである必要はありません。何度も着せたり、ほどいたりを繰り返すため、安価で、練習に支障のない状態のもので十分です。

私は練習用や教室で使用する着物を購入する際、メルカリなどのリユース品や、比較的手頃なプレタ着物がそろう京越を利用することが多いです。そのほか、リユース着物店や古着店などで探してもよいでしょう。

中古品を購入する場合に、特に確認したいのはサイズと状態です。

サイズを確認する

練習用だからといって、サイズは何でもよいわけではありません。使用するトルソーやモデルに対して極端に小さい・大きい着物では、本来の手順や仕上がりを確認しにくくなります。

特に、

  • 身丈
  • 袖丈

などを確認し、練習する相手やトルソーに無理なく着せられるサイズを選びましょう。振袖、男性着物、七五三などは、それぞれ仕立てや寸法も異なります。習得したい着付けに合ったものを用意します。

状態を確認する

練習用であれば、多少のシミや使用感はそれほど問題になりません。

一方で、

  • 生地が弱っている
  • 大きな破れやほつれがある
  • 縫い目がほどけている
  • 強いカビや臭いがある
  • 着付けの練習に支障が出るほど傷んでいる

ものは避けた方がよいでしょう。安さだけで選ぶのではなく、何度も繰り返し練習できる状態かどうかを確認して選ぶことが大切です。

ゆうきもののレッスンでは着物を貸し出しています

ゆうきものの着付け師養成コースでは、他装レッスンで使用する着物や帯は、基本的に教室のものをすべて貸し出しています。

そのため、受講を始める時点で振袖や七五三、男性着物などを一式そろえていただく必要はなく、基本的には手ぶらで受講できます。

着付け師養成コース レッスン風景

from Instagram

⠀
先月、またお一人「着付け師養成コース」
を履修された受講者さまがいらっしゃり、
ディプロマ(修了証)をお渡ししました。

当初は、自装の初心者コースに
ご友人と一緒に通われていたのですが、
終了と同時に本コースへ進まれました。

苦手なところも少しずつ克服され、
誠実なお人柄もあり、丁寧な着付けをされます。

早速来月から、現場に入っていただく
予定です。

現場でしか学べないことも
多々あります。

その経験が、さらなる成長の糧になります。

こうしてお仕事が委ねられる
メンバーが増えていくのは、
ありがたい限りです。

その分、私の責任も増えるので、
身を引き締めて精進します。

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ただし、技術を身につけるためには、レッスン以外での反復練習も大切です。自宅で練習する場合は、学習の進度に合わせて、練習用の着物や帯を少しずつ用意することをおすすめしています。

また、レッスンが進み、実際の現場を想定した練習をする段階になったら、

  • 着付けクリップ
  • 着付け用ヘラ
  • 帯結びに使用する仮紐
  • 着付け中に道具を入れておくバッグ

など、自分自身が現場で使用する道具は、できるだけ持参して練習することをおすすめしています。

実際の現場と同じ道具、同じ収納場所で練習しておくことで、「何をどこから取り出すか」まで含めて動作に慣れることができます。

技術だけでなく、道具の準備や扱い方も含めて現場を想定しておくことが、着付け師として仕事をするための練習になります。

着付けクリップ|サイズ違いで使い分ける

他装では、着付けクリップをさまざまな場面で使用します。一種類だけでも着付けはできますが、サイズの異なるものを使い分けると、作業しやすくなります。

着付けクリップ 大

まず用意したいのが、一般的な大サイズの着付けクリップ(約7.2cm)です。着物や帯の仮留めなど、幅広い場面に使用できます。

自装でも使用するため、すでにお持ちであればそのまま使用できます。他装では複数本使用することもあるので、練習を続けながら必要な数を追加していけば十分です。

私は、こちらの紫色のクリップですべて統一しています。

着付けクリップ 大を購入する

着付けクリップ ロング

他装を学ぶ方に、私が特におすすめしているのが、10cm程度のロングタイプです。通常のクリップより長いため、衿元の背中心など、少し深い位置を固定したいときに便利です。

普通サイズでも代用はできますが、ロングタイプを1本持っておくと作業しやすい場面が多いため、他装を学び始めたら追加しておきたい道具です。

着付けクリップ ロングを購入する

着付けクリップ 小

小さな着付けクリップ(約4.8cm)は、最初から必要というわけではありません。特に便利なのが、七五三など子どもの着付けです。通常サイズでは大きすぎる場所でも扱いやすいため、七五三を学ぶ段階になったら追加するとよいでしょう。

着付けクリップ 小を購入する

着付け用ヘラ

着付け用ヘラは、おはしょりや帯まわりなど、手が入りにくい部分を整える際や最後の仕上げ時に使用します。指だけで無理に押し込もうとすると、せっかく整えた着物や帯まで動いてしまうことがあります。

ヘラを一本持っておくと、細かな部分だけを整えやすくなります。

私は、べっ甲調のタイプを愛用しています。黒いヘラも多いのですが、着付け師が使うバッグやエプロンは黒色のものが多いため、バッグの中で見つけやすい色を選んでいます。

小さなことですが、現場では、「必要な道具をすぐに見つけられる」ことも大切です。

着付け用ヘラを購入する

練習初期におすすめ|マルチ定規

他装の練習を始めたばかりの頃は、「なんとなく、きれいに見える」だけで終わらせず、仕上がりを客観的に確認することも大切です。

そこで役立つのが、長さと角度を測れるマルチ定規です。

例えば、

  • 衣紋をどのくらい抜いているか
  • 衿合わせの角度
  • 衿の左右差
  • おはしょりの長さ
  • 帯の高さ

などを実際に測ってみます。同じ着付けを繰り返し、

「今回はなぜきれいに見えるのか」
「前回と何が違うのか」

を数値でも確認すると、自分の感覚だけに頼らず、再現性のある技術につながります。

もちろん、毎回ずっと定規を使うわけではありません。ある程度、自分の目で適切な位置や長さを判断できるようになるまでの練習用ツールとして活用するのがおすすめです。

マルチ定規を購入する

振袖の帯結びを学ぶなら|三重仮紐

三重仮紐(トリプル仮紐)

三重仮紐は、中央部分が三重のゴムになった仮紐です。振袖などで華やかな飾り結びを作る際に、帯の羽根を挟んで固定するために使用します。

一般的なお太鼓結びでは基本的に必要ありません。そのため、他装を始めた時点で必ず購入するというより、振袖や飾り帯結びを学び始めるタイミングで用意すれば十分です。

実際の現場では、お客様の小物を使用することもありますが、練習用として自分のものを持っておくと便利です。

三重仮紐を購入する

現場に出るなら|スタイリストエプロン・バッグ

他装の練習中は、必要な道具を机の上に置いておけば問題ありません。ところが、仕事として着付けをする場合は、

  • 着付けクリップ
  • ヘラ
  • 腰紐
  • 仮紐
  • 小さな補助道具

などを、必要なときにすぐ取り出す必要があります。そのため、ポケットの多いスタイリストエプロンや、腰につけられるバッグが便利です。

私は美容師さんが利用するシザーバッグのようなタイプを使用していますが、エプロンタイプも使いやすいと思います。

選ぶときに重視したいポイント

見た目以上に大切なのが、

  • 必要な道具がすぐ取り出せる
  • 作業中に道具が落ちにくい
  • しゃがんだときに邪魔にならない
  • 自分がどこに何を入れたか覚えやすい

ことです。現場では時間が限られることも多いため、毎回バッグの中を探す時間はできるだけ減らしたいところです。

使用する場所を決め、

「ロングクリップはここ」
「ヘラはここ」

と、道具ごとに定位置を決めておくと、作業もスムーズになります。色は、現場で服装になじみやすい黒などのシンプルなものが使いやすいでしょう。

スタイリストエプロンを見る

お客様の着物を扱うなら|衣裳敷

衣裳敷

衣裳敷は、着物や帯を広げたり、着付けの準備をしたりする際に、床へ敷いて使用します。

教室や自宅など、いつも同じ場所で練習していると必要性を感じにくいかもしれません。しかし、出張着付けでは、着付けをする場所の環境が毎回同じとは限りません。

お客様からお預かりする着物や帯を直接床へ置かないためにも、一枚持っておくと安心です。衣裳敷を広げて、「この上に着物や帯を準備する」と決めれば、作業スペースも確保しやすくなります。

折りたたむと、だいたい25〜30cm×35〜40cmくらいの大きさになるので、出張着付けの際には衣裳敷が入る大きさのバッグがあるとよいでしょう。

衣裳敷を購入する

私が着付け師として現場に持っていくバッグの中身

ここまで、他装を学ぶ際におすすめの道具をご紹介してきました。では、実際に着付け師として現場へ行くとき、どのくらいの道具を持っていくのか。

私は、着付け内容に応じて追加するものはありますが、最低限必要な道具は着付け用のバッグにまとめて、すぐ持ち出せるようにしています。

着付け師の仕事の際に、現場で使用しているバッグ。
ウエストバッグの縁に着付けクリップを付けて、すぐに使えるようにしています。

クリップやヘラは、取り出しやすい位置にセットしています。

バッグの中身を並べると、こんな感じです。

私の場合、基本的には、

  • 着付けクリップ(大7個、小2個)
  • ロングクリップ(1個)
  • 着付け用ヘラ
  • 腰紐・仮紐類
  • 必要に応じて使用する補助小物

など、着付け中に自分が使用する道具をバッグへまとめています。

また、ショーやイベントなどでは、複数の着付け師で同じ現場を担当することもあります。その際にほかの着付け師のものと混ざっても、自分のクリップだとひと目で分かるよう、すべてに目印となるシールを貼っています。

さらに、着付け終了時の取り忘れを防ぐため、現場へ持参したクリップの本数をあらかじめ把握し、撤収時には必ず同じ本数がそろっているか確認します。

クリップが着物や帯に残ったままにならないよう、自分の道具を識別し、使用後まできちんと管理することも、着付け師として大切な確認のひとつです。

また、お客さまの忘れ物対策として以下も常備しています。

  • リッパー(しつけ糸の取り忘れ)
  • ハサミ(値札の取り忘れ)
  • ソーイングセット(ほつれ直しなど)
  • 半衿テープ(半衿の付け忘れ)
  • 髪留め(ヘアセットの前に着付けをする際)
  • サージカルテープ(紐が足りない時など)
イベント会場での着付け時
きものショーイベントでの着付け時

振袖、七五三、浴衣、訪問着など、依頼内容によって必要なものは変わるため、毎回まったく同じではありません。

大切なのは、「すべてを持ち歩くこと」ではなく、その日の着付けに必要なものを把握し、必要なときにすぐ取り出せる状態にしておくこと。だと思っています。

道具には「定位置」を決めておく

現場では、「さっき使ったクリップ、どこに置いた?」と探している時間が積み重なると、意外と大きなロスになります。

私はバッグの中でも、

  • クリップ
  • ヘラ
  • 紐類
  • その他の小物

と、それぞれ入れる場所をある程度決めています。使ったあとも、できるだけ同じ位置へ戻します。技術だけでなく、道具を探さずに動けることも、スムーズな着付けにつながります。

着付け師を目指している方は、道具をそろえたら、

「どこに収納するか」
「どの手で取り出すか」
「使ったあと、どこへ戻すか」

まで含めて、自分が動きやすい形を作ってみてください。

現場の道具は定期的に点検する

着付けバッグは、用意したままにせず、定期的に中身を確認します。

例えば、

  • クリップに破損がないか
  • 腰紐が汚れたり傷んだりしていないか
  • 必要な道具が戻っているか
  • 前回の現場で使ったものを補充しているか

などです。

特に仕事として着付ける場合、「当日になって必要なものがない」ということは避けたいもの。現場から帰ったらバッグを整理し、次回すぐ使える状態に戻しておくと安心です。

最初からすべてそろえる必要はありません

着付け師を目指そうと思うと、いろいろな専用道具が必要に見えます。でも、レッスンを始めた段階で、すべて購入する必要はありません。

他装の練習を始めるなら

まずは、

  • 和装用トルソー ※自宅練習する場合
  • 着付けクリップ 大
  • 着付けクリップ ロング
  • 着付け用ヘラ

くらいから始めれば十分です。必要に応じて、仕上がりを確認するためのマルチ定規を追加します。

振袖・七五三まで学ぶなら

技術の幅が広がってきたら、

  • 三重仮紐
  • 着付けクリップ 小

などを追加します。

仕事として現場に出るなら

実際にお客様へ着付けるようになったら、

  • スタイリストエプロン・バッグ
  • 衣裳敷

など、技術そのものではなく、現場で安全かつ効率的に仕事をするための道具もそろえていきます。まずは練習を始め、必要性を感じたものから少しずつ追加していきましょう。

道具以上に大切なのは「使いこなせること」

着付けには便利な道具がたくさんあります。でも、道具を増やせば着付けが上手になるわけではありません。

同じ着付けクリップ一本でも、

「なぜここに留めるのか」
「どの位置なら着物を動かさずに済むのか」
「いつ外すのか」

まで理解して使うことで、初めて技術の一部になります。

まず基本の手順を身につけ、繰り返し練習する。そのうえで、自分が必要だと感じた道具を取り入れていく。他装を学び始めた方には、その順番をおすすめしています。

他装・着付け師を目指して学びたい方へ

大阪・福島の着付け教室「ゆうきもの」では、人に着物を着せる他装レッスンから、仕事として着付けをしたい方向けの着付け師養成までおこなっています。

自装と他装は異なる技術のため、「自分ではまだ着物を着られない」という方でも、他装から学ぶことができます。

趣味としてご家族やご友人に着付けたい方はもちろん、

  • 着付け師として仕事をしたい
  • 美容師・ヘアメイクの仕事に着付けを加えたい
  • フォトスタジオなどで着付けを担当したい
  • 副業・セカンドキャリアとして技術を身につけたい

という方にも、目的に合わせたレッスンをご用意しています。

着付け師という仕事そのものについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。


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この記事を書いた人

徳山 友紀のアバター 徳山 友紀 大阪福島の着付け教室「ゆうきもの」代表 / 1級着付け技能士(国家資格)

1級着付け技能士(国家資格)・着付け講師。大阪市福島区で、きもの着付け教室「ゆうきもの」を運営しています。初心者向けレッスンから着付け師・講師養成まで対応。着付けご依頼、出張着付け(大阪市内限定)も承ります。

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